「ペラペラ英語」なぜ通じない?子音の軽視と巻き舌(第11話)

 

ペラペラと英語を話しているのに通じない人がいますが、多くの場合その原因は子音の質が悪いことと巻き舌のクセです。

英語は、母音が多少間違っていても、子音さえしっかり発音すればかなり通じると、大学の音声学で学びました。確かに英語の母音は国・地域によってかなり異なりますが、それでもなんとか意思疎通できるのは子音の共通性が高いおかげのようです。

英語ネーティブが違和感をおぼえる日本人英語の最大の特徴は、語尾の子音です。丁寧に発音されずに母音らしきものつける癖です。例えば book は booku, eat は eatu, deskはdesku などと聞こえているわけです。

もちろん語尾以外の部分の子音も大事ですが、社内のネーティブ同志でふざけて日本人英語を真似る際には、いつも語尾に母音をつけていました。それだけ違和感があるし、通じにくさの原因になっているのです。

残念なことに、日本の学校英語では英語の発音を習う機会はあまりなく、カタカナ式発音の英語の音読に終始し、上記のようなクセが固定化してしまいます。

結果的に、英語の発音は学習者が個人的に自学するしか選択肢はないようです。その意味で、第8話「英語の歌で発音マスターしよう」を読んでいただければ幸いです。

 

「英語の発音はただでマスター出来ます。1960年代のフォークソングに音声が良質な上、伴奏も静かなものが多く、発音を鍛えるのに最適です。その一例が下記の歌です。この歌を毎日聴いて英語の音を練習したものです。コツは「弱い」声でつぶやくようにして歌うことです。口の形は忘れて、聞こえたとおりに歌います。学校英語では教えないような点に気がつきます(大学の英語音声学授業では教えますが)。」

 

ちなみに、学習者が日本式発音を修正せずにシャドーイングを始めたらどうなるでしょうか?そのような発音をますます固定化させるというリスクがあります。

シャドーイングは英語のリズムに慣れるというメリットはある一方、この発音固定化リスクも認識する必要があります。

なお、両耳で聞きながら行うシャドーイングは、自分の発音が完全には聴けずコントロールしにくいという点が問題です。ちなみに筆者がかつて同時通訳訓練の中で行ったシャドーイングでは、対策としてヘッドセットの右側で英語を聴いて、左側で自分の発声を聞いていました。

自分の発声がきちんと聞こえることの重要性については、音楽関係の人はよく認識しているはずです。ライブ演奏を見ると、演奏者側を向いたスピーカーが置かれています。自分の発する音がしっかりと聞こえないと話にならないわけです。

さらに、両耳で聞きながらシャドーイングを行う人の姿を見て気になるのが、声が大きすぎるという点です。以下ご参照ください。

 

「第6話「弱く話してください」英語発音はピアニシモで

今回は、「軽く音読」することの大切さを説明します。まるでささやくように弱く発声すること(いわば「ピアニシモ発声法」)が英語発音学習のコツだというのが結論です。

弱く話す方が発音をコントロールしやすいことに気がついたのは、大学での同時通訳訓練の最中です。ヘッドセットの片側から聞こえる英語を日本語に同時通訳する練習ですが、ささやき程度の発声にしないと英語が聴き取りにくいこともあり、ピアニシモ発声の習慣がつきました。」